北海道、訓子府町穂波(くんねっぷちょう ほなみ)。北海道東部に位置するこの町に、20年以上の間、農薬も化学肥料も使用せず作物を育み続けてきた畑があります。
それが、この黒豆の栽培・乾燥を手がけている伊藤秀幸さんの畑です。
伊藤さんは20年以上もの間、農薬や化学肥料を使用せず土造りを行ってきました。それに加え、現在は6年以上、有機肥料も使用せずに完全自然農法によって栽培を行っています。
夏ともなれば黒豆は太陽に向かって精一杯葉を広げ陽光をその身に集めます。健康な土からの養分と、太陽の恵みを蓄えた黒豆。花を咲かせ実を結んだ時、蓄えてきた栄養は実に集まり、豆本来の風味と香りを豊かにし、強い甘みをもたらします。
なお、伊藤さんが使っている種は10年以上の間、自家採種してきた種です。
土壌本来の力を発揮できるよう守り抜いてきた土、そこで育った健康で美味しい黒豆が伊藤さんの畑で脈々と受け継がれていっています。
黒豆の収穫は主に10月中旬。収穫の時を迎えた黒豆を豆刈り機で刈り取ったら、天日で乾燥させるため、畑に積み上げていきます。
天日で自然乾燥させるのは、豆の美味しさを最大限引き出すため。機械乾燥は短時間で強制的に乾燥させるため、効率はいいのですが、乾燥時の熱によって豆の栄養素や細胞が破壊されてしまい、せっかくの香りや風味が落ちてしまいます。
そのため伊藤さんは、天日自然乾燥にこだわります。天日で約1ヶ月の時間をかけ、じっくり乾燥された黒豆は甘みと旨みが増し、その美味しさと香りが最大限に引き出されます。
種・土作り・栽培方法・乾燥方法、全ての工程に妥協なく、愛情を込めて育てられてきた黒豆は、最後に脱穀機を通り、ぷっくりとした可愛らしい姿となって、私たちの元へ届けられます。
伊藤さんの畑で採れた豆は「豆本来の甘みがある」「クセがない」「エグミがない」と大変好評です。豆そのものの味がしっかりしているので、調味料はほんの少しの塩で十分との感想も。硬めに炊くと栗のようなホクホク感が味わえるそう。
また、黒豆には多くの栄養素が含まれています。黒豆の黒い色素であるアントシアニン、腸内の有用微生物も喜ぶ大豆オリゴ糖。大豆オリゴ糖は、煮豆かきなこでしか作られないもので、他の豆製品では失われてしまいます。その他にもサポニン、カリウム、レシチン、食物繊維、鉄、イソフラボンなど、体に嬉しい成分が豊富です。
煮豆にされた際は、是非煮汁までお楽しみください。黒豆の栄養を余すところなく体に取り込めます。煮汁そのままでも美味しいですが、もし飲みにくい場合には、煮詰めてシロップにしたり、ケーキやパン作りに使うこともできます。
黒豆本来の美味しさと、豊富な栄養がぎゅっと詰まった伊藤さんの黒豆。その風味と甘み・旨みを、是非ご堪能ください。